バウハウスのアート&デザインスクールは、アートとクラフトの融合を目指し、同時に大量生産のための新たな技術も積極的に採用。おそらく歴史上もっとも有名なデザインスクールであるバウハウスの思索者たちは、「アートを工業に」持ち込むことで、世界を根本的に、そして絶対的に再構築する必要性を感じていた。良いデザインはミニマリズムと簡潔さによって定義され、デザインに対するこの思想と美的アプローチは、ロットリングのデザインにも多大な影響を与えた。
(画像著作権:Galerie Berinson, Berlin and Makoto Yamawaki, Courtesy of the Barbican Art Gallery)
ペン先のない初の万年筆が登場。このモデルは、「Tiku(ティク)」の愛称で世界中で人気となった。パイプ状のペン先と調節用ワイヤーによってインクの流れを制御するデザイン。その後、最高のニードルポイントペンとして、ロットリングの愛好家に「Tintenkuli(ティンテンクリ)」として知られるようになる。
デザイン業界におけるモダニズム運動は、西ヨーロッパで新技術が日常生活に導入されることで発展を続けました。モダニストたちは、機能が形状を規定する、よりよい社会の形成ができると信じていたのです。モダニズムは、シュールレアリズム、後にはキュビズム、バウハウス、ダダイズム、そしてドイツ表現主義によって定義されるようになります。
ル・コルビジェのスケッチ――モダニスト理論に着想を得て
パイプ状のペン先を持つロットリングのインクペンで、最初の特許を取得。ペンが机上の広いスペースを占領する必要性はなくなり、柔軟性のある新時代が幕を明ける。
"Riepe Werke社"がTikuの世界34カ国への輸出を開始。このペンは、1930年代の主力の筆記用具となる。
ロットリング初のマルチペンが登場。グラファイトの芯とスタイリッシュなツイスト機能付きの大成功した「4色ペン」は、1つのツールとしての洗練されたシンプルさを持ちながら、カラー選択が可能となった。
1939年の万国博覧会にて、明日の世界を構築しようという試みを通じて、アメリカの工業デザインのより斬新で明確な視点を提示する。示されているのは、デザインにおける未来的な形を決定づける、新たな素材と合理的かつ効率的な形状である。スタイルが機能と同じ重要性を持つようになる。同時に、「愛用品」を通じ、個性の際立つスタイルがより表現されていくようになる。
(万国博覧会、ニューヨーク、1939年/画像著作権:Gottscho-Schleisner)
輸出マネージャーのカール・H・ディーツェにより、この小さな企業は世界的な創作ツールを生み出すプレイヤーとなり、ロットリングは飛躍的に拡大する。「Tintenkuli」(inkograph)の文字と赤い輪のロゴ入りの、会社初となる宣伝用バンが整備される。
創設者の息子であるヘルムート・リーペが入社し、ロットリングに新たな風を吹き込む。
ヘルムート・リーペは、Tikuのコンセプトを創造的に拡張。ロットリングのラピッドグラフの開発により、次の一歩を踏み出す。その結果が、製図用ペンの原型となって結実。新技術は当時のペン業界を席巻し、製図用ペンの領域を生み出して製図作業を大幅に簡素化した(現在に至る)。ロットリングのローラーペンと「Tiku-Kuli」のボールペンは、1950年代の筆記用具における重要なイノベーションとなった。
画期的なデザインのペン先を持つロットリング「Rollkuli」""の第二世代が、ロットリング愛好家向けに発売。
ロットリングは、製図用ペンの第二世代となるバリアントとバリオスクリプトを発売。どちらもたちまち成功を収めた。
ドイツ語の「roter ring(赤い輪)」は、高精度のシンボルであり、赤い輪を冠したすべての製品の正式名称となった。
ロットリング初の製図セットが発売。コンパスとステンシルにより、一連の製図用具と創作ツールが完結した。
1968年、ロットリングは製図用ペンの商品展開を拡大し、"マイクロノーム"を発売。描画のマイクロフィルム保存を安全に行える基準の太さの線描を可能にした。
ドイツのプフォルツハイムを拠点とする金属製筆記具メーカー、Adolf Waldmann KGを買収し、自社ブランドにおけるドイツのルーツを強化する。
ロットリングは、スイス、オランダ、イギリスおよびベルギーをはじめとするヨーロッパ各地に拠点を設立。
ロットリングのイソグラフが製図用インクペンの商品展開に追加。特許を取得したグリップによる快適な使用感が、ユーザー体験を高める。
ロットリングはキルヒェンのWalter Hebel KG社の株式を取得し、射出成形法による初の製図板を製造。
ロットリング初のTikkyファインリード メカニカル ペンシルが登場。ペンシルでの描画の緻密性は、製図の世界でも随一である。人間工学に基づいた波型グリップは世界的に知られ、メカニカル ペンシルの代名詞となる。
80年代のユーザーに向け、初のコンピュータ制御のレタリングマシンを開発、販売。ロットリングNCスクライバーが誕生。
ロットリングの新たなグローバル商標とコヒノールの作図用ペンシステムを発表。ラピッドプロットが、ロットリングの作図用アクセサリの世界的ブランドとなる。
新たなラピッドグラフ製図用ペンは、キャピラリーカートリッジを備え、技術と機能に新たなスタンダードを設定。この新たな発明が、ラピッドグラフの製図用インクペンをさらに使いやすく、より美しい描線を可能にする。
ロットリングアートペンの登場。このカリグラフィー用万年筆は、筆記用具市場に広く浸透。やがて書法技術の世界に受け入れられ、再び人気を博す。
ロットリングはグローバルな子会社ネットワークを構築すべく、ロットリングのPortugal Ltda.とイタリアにあるコヒノールのHardtmuth S.p.A.を買収し、rOtring France S.A., rOtring Hellas GmbH and rOtring Espana S.A.を設立。
カスタマイズできる多機能の筆記用具。ユーザーの個別のニーズに応えるべく、彼らの協力のもとデザインされた。その結果、ロットリングのマルチペン技術により、アイコンを選択してペンかペンシルかを選べるようになる。
ロットリング600の発売により、会社は大規模な筆記用具市場に参入し、80年代の最新アクセサリの新基準を設定。600は、建築家の製図デスクから転がり落ちることのないよう、六角形のボディが設計された。これは1枚の真鍮から旋盤で成形され、十分な重量があるために製図の際に建築家が余計な筆圧をかけずに済むデザインとなっている。
Tikkyメカニカル ペンシルの特徴は、万年筆やボールペンにも巧みに引き継がれる。後にロットリングエスプリとして知られる、軽量メタルの400シリーズの筆記用具は、これまでにない書き心地を実現。
アートペンの成功により、ミレニアムの商品展開を求める声が上がる。1994年から2000年まで、アートペンミレニアム限定版がコレクターズ商品として毎年発売され、時代を象徴する収集アイテムとして人気を博す。
針状のペン先と書き心地のなめらかなインクのローラーポイントペン、ロットリング XONOX(ゾノックス)発売。
ロットリングは、主要市場を高級筆記具、教育、オフィスに絞り、事業を再構築する。ヨーロッパ、アジア、北米にて、感情に訴える大規模なブランドキャンペーンを実施し、ブランド理念を世界に伝える。
初の企業オンラインサイト(www.rOtring.com)を開設。
世界的に有名なロットリングの細芯ペンシルTikkyの第二世代となるTikky IIが発売され、大成功を収める。
ロットリング創業70周年にあたり、限定エディションの「1928」を発売。2つのペン先を持つ1,928本の万年筆には、クラシカルなパイプのペン先と、豪華な18カラットの2色ゴールドのペン先が採用される。
ロットリングペンの最先端技術を証明する多機能ペン、マルチファンクションペン・エグゼクティブ。1998年、ロットリングはSanford社のニューウェル ブランド部門の傘下に入る。
デサインとテクノロジーの両面で革新的なロットリングのイニシャルが発売。万年筆は特殊な空気圧力補正システム(APC)を搭載し、飛行機の中でのスムーズな書き心地を実現した。
究極の愛好家アイテムとして、ロットリング・コアを発売。
ロットリングは、製図用コンパスの開発に乗り出す。コンパクトシリーズは、機能性とすぐれたフォルムが融合する。
ロットリングの新ニュートンが発売。堅牢で使いやすい高級筆記具が醸しだす純金属の感触は、愛好家たちを「ビジョンを形にする」作業へと誘う。
特徴的な模様と独特の仕上げを施した、新しいロットリング・エスプリの限定版が発売。
ロットリングは、画期的なプッシュ方式の2mmのホルダーと、クッションポイント機構およびスライディングパイプ方式の細芯ペンシルを備えたラピッドプロの新シリーズを発売。&プロに最適なツール。
最初のメカニカル ペンシルとスタイラスのハイブリットデザインとなる、ロットリング800+を発売。紙とタッチスクリーンで使用可能。デジタル技術の発展とともに創作活動はハイブリッド化し、過去の創作手法と今日のテクノロジーの融合が進んでいる。800+は、デザイナーが「紙で考え、デジタルに考える」ことを可能にするために開発された。