1982年生まれのガナエル・モーリーは、モンペリエに拠点を置き、アーティストおよびグラフィクデザイナーとして活動しています。ë美術を学んだ後、彼女は“en Traits Libres”スタジオの一環として、個人プロジェクトや共同プロジェクトを実施してきました。
彼女の作品は、描画テクニックと、事前にサンプリングされたディテールの無限反復の分析により構築されます。何百回と繰り返される線描や模様により生み出された表面が、紙の上に形成されていきます。
彼女が定番とするのは、ロットリングの極細ライナーペン、たいていはロットリングのイソグラフとTikkyグラフィックペンです。
ロットリングのペンを使い始めたのは偶然でした。何年も前、書籍の出版社に勤めていた頃、デザインオフィスが大掃除をするというのでペンを一箱もらいました。その中に、ロットリングのラピッドグラフが数本入っていたんです。私はフランスのリーニュ・クレール(ligne claire)の描画スタイルやベルギーの漫画(特にヨースト・スワルテ、フロック、そしてもちろんエルジェé)が好きで、ロットリングの均一な線だと、それと同じスタイルが出せるんです。リーニュ・クレールスタイルと同じフラットな色合いを出すために、スキャンしてPhotoshopで彩色(と修正)をしています。
ブログを2年ほど続けたところで、テート・パブリッシングから、ロンドンについての本の執筆と、このスタイルでのイラストの依頼がありました。それが「ロンドン ウォーク!」です。
ロットリングのラピッドグラフを何本も使います。大部分が0.35mmのラピッドグラフ で、より太い線や枠線には0.5mm、細かい部分の描き込みには0.25mmのラピッドグラフ を使用します。
"描き始めるときにはいつも、どんな形が生まれてくるかわからない状態でスタートするので、意外性や破壊的偶然が起こる余地を残しておきます" このようにして、彼女の描画は徐々に、そして直観的に姿を現し、本質とともに拡張していきます。"紙の上に描かれる線は、人生で一度しか起こらない瞬間が積み重なった結果なのです" 彼女のすべての作品の共通点は、ある時点における感情を固定するということです。虚無的な抽象性の淵に立ちながらも、彼女の絵は決して、感情の主観性、コミュニケーションやイマジネーションを脅かすものではありません。